偽りのプリンセス
私の家もそこそこ裕福なはずだけど、こんなの比べものにならない。
高い天井も、長い廊下も。
全てが新鮮に感じた。
「あちらで王子様がお待ちです」
私を連れてきた男の一人がそう言うと、別の人によって扉が開かれる。
キィーと扉が開くと、部屋の奥に王子様らしき後ろ姿が見えた。
「王子様、連れてまいりました」
同時に、王子様は振り向く。
ため息が出そうになるほど、整った顔立ちをしている王子様。
淡いキャラメル色の髪に、サファイアの宝石をはめ込んだような瞳。
私なんかじゃ、到底釣り合わない。