偽りのプリンセス


王子様が、ツカツカと私に向かって歩いてくる。


「……君」


顎に指を置き、まじまじと私を見つめる王子様。


別人だって、きっとわかってくれるはず。


だってこの靴の持ち主は、舞踏会で王子様と踊っていた。


ブロンドの髪に透き通るような白い肌。


とても綺麗な人だった。


「君が、僕の運命の人なんだね」



……は、い?


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