偽りのプリンセス
私は王子様の言葉に耳を疑った。
「ひ、人違いです」
「なぜ?」
「な、なぜって……」
この人、一緒に踊った娘の顔を覚えていないのだろうか。
「とにかく、明日にでも式を挙げよう」
「し、式!?明日!?」
あまりの展開の早さに、私の頭はついていけない。
「こういうことは早い方がいい。何か都合でも悪いか?」
「いや、あの……私、」
「娘が見つかったというのは本当か!?」
本当は人違いだということを伝えようとした時、背後で慌てた声がした。
「あぁ、この子だよ」
王子様に肩を掴まれ、声の主の前で頭を下げる。
顔を上げると、満面の笑みの王様がいた。
王子様のお父様だ。