偽りのプリンセス
「そういえば、名前聞いてなかったね」
王子様がそんなことを聞いてきたので、頭の中を読まれたのかと思った。
「……ジュリアです」
「ジュリアか。いい名前だ」
にっこりと笑う王子様に自分の名前を呼ばれて、不覚にも少しどきどきしてしまう。
「あ、あの、私……」
「失礼致します。ドレスの採寸をしますので、王女様はこちらへ」
もう一度勇気を振り絞って真実を打ち明けようとした時、またしても邪魔が入った。
「王女様、早くこちらへ」
王女様とは、私のことだろうか。
まだ結婚もしてないのに、勝手に決めないでほしい。
「ジュリア、行っておいで」
けれど王子様がそう言ってきたので、私は渋々女の人たちの後に着いていった。