\;貴方依存症;/
「ちぃ、ありがと!ちぃは最高の先生だね。マジ大好き!」
そんなはるの言葉が何度も頭の中をめぐった。
最高の先生…?
ありえない。
私ははるを裏切って冬雪と幸せになろうとしているんだ。
生徒を裏切る教師なんて教師としても人間としても最低だ。
私は最低の教師。
「ありがとう…。」
窓の外の少し赤く染まる空を見つめながら、ただそれだけ答えた。
急に立ち上がり頭を下げるはるの顔は凛々しかった。
「うち、頑張るよ!もう大丈夫だから…。先生、本当にありがとうございました。」
「何急に改まってんの!気をつけて帰ってね。」
はるの肩に手を置いて、はるに負けないぐらいの笑顔を返した。
「でもまだ帰りたくないなぁ。ちぃと一緒にいたいよぉ。」
急に甘えた声で私の腕をつかむ。
「私もはると一緒にいたいけど…。でももうすぐ最終下校だからまた今度ね。」
はるは、わざとムスッとした顔をして私の腕を離さない。
「この教室から見える桜って案外綺麗だよね-!」
私の話しを無視して話し出す。
「私の話し聞いてたぁ?ん-…、まぁ-、ちょっとぐらいならいっか!」
「さすがっ!先生超ノリいいじゃん!」
笑いながら桜を見た。
あの時に、冬雪と2人で走ったあの裏道を思い出す。
裏道に咲く桜の方が綺麗に感じる。
きっと冬雪と見たから、だから綺麗に感じられたのかもしれない。
「…あっ、ねぇ!ちぃ、誰かきたよ。」
私はボッーとしていて、足音に気づかなかった。
〈ガラガラッ〉