\;貴方依存症;/
ドアを開けたのは荒い息をする冬雪。
「先生…。まだいると思ってたよ。俺ちょっと忘れモノしちゃってさぁ。帰り道暗くて怖いし、車で俺んちまで送って!」
はるの存在を全く気にしていない。
いや、全く気にしていないならもっと過激なことを言うはず。
「……………。」
言葉が出ない。
たった今傷ついたばかりのはるの存在を無視するように、なんでそんなに明るい顔ができるの?
「早く帰りなさい。」
目を合わせず冷たく言い放った。
「えぇー!頼むよぉ!」
笑顔の冬雪が少し憎い。
人の気持ちの理解もできない冬雪が憎い。
「ちぃ、車で送ってあげて。うちからのお願い。お礼なら、何でもするから…。」
私の耳元ではるは囁く。
「はる…なんで……!?」
なぜはるはそんなことが言えるの?
苦しくないの?
私の声は届かなかった。
「じゃあ先生っ!私帰りますね!また明日ぁ!」
笑顔で教室を出て行く。
「はる!ちょっと待ってよ!ねぇ…!」
はるを追いかけたかった。
でも腕を掴まれて足が止まってしまう。