夜の蝶
「いらっしゃいませぇー☆」
「おっ、ユーナちゃん相変わらず今日も可愛いなあ」
「やだぁ、中田さんのおかげですよ~」
開店してすぐ、常連の中田さんに指名された。
中田さんはこの近くで不動産屋をやっている50代半ばのオジサン。
麗華は店での名前、源氏名は『ユーナ』という名前をつかっている。
「ぢゃぁ今日はドンペリ頼んじゃおうかな~」
「えっいいんですかぁ☆」
わざと嬉しそうな笑顔をみせ、声を高くする。
中田さんはコロッと騙され、ニタニタしながら
「いいよ、どんどん飲んで~!
すいません、ドンペリピンクお願いします。」
マネージャーを呼び止めて注文する中田さんをよそに、麗華は
゛ドンペリなんか毎日飲んでるし。
それにあんたと飲むよりひとりで飲んだ方が100倍楽しいっつーの゛
と冷めたことを考えていた。