3を3回、2を2回
不安になったニコは高校時代の親友を呼び出した。
しかし友達たちはニコの知っている彼女たちではなくなっていた。
大学に入り、キャンパスライフを送る彼女たちは、予備校で見た華やかな女子と同じようにふわふわとしていた。
一番仲の良かった明子ですら
「最近好きな人が出来たの」
とにこにこと話しかけてくる。
ニコは明子の話を聞きながら
「そうなんだ、頑張りなよ!」
という言葉とは裏腹に空っぽな気持ちに襲われていた。
人を好きになるってなに?
今までみたいに楽しいことしていようよ…
女だけでいたほうが楽しいし、楽じゃない?
ね?
そうでしょ?
違うの…?
虚無感と焦燥感。
自分には彼氏なんていらないと思っていた。
いつもみんなにもてはやされて毎日楽しくて。
それだけでよかった。
それがよかった。
けれどかつての戦友たちはみんな戦いが終われば家庭に戻り、普通の女となっていく。
ニコには支えがなかった。
いつしか、予備校へ向かう足取りも重くなっていた。
このままじゃだめだ。
でも…
こわい。
毎日それの繰り返しだった。
真っ暗な部屋で携帯を握り、
ぼうっと明かりに照らされディスプレイにうつるニコ。
それはまるでヒーローのような戦士ではなく、醜いアヒルそのもので。
『全然かわいくない。全然女の子みたいじゃない。』
鼻の奥の方でしょっぱいにおいがした。
涙がニコの頬を通った。