3を3回、2を2回






無論、今まで恋をしてこなかったわけじゃない。

中学の頃には彼氏もいた。


けどそれはあくまで中学生。
手をつなぐまでのかわいいお付き合いで、進学と同時にパタリと連絡も取らなくなったし、今では顔も思い出せない。






今、ニコの周りにいる華やかなお花みたいな女の子たちは
恋をし
愛され
かわいく健気に揺れている。


ふわふわと
『おんなのこ』
として。





ニコは?











ニコは
自分に自信がなくなり、
異性も怖くなり、
友達とも疎遠になり、
勉強すら手につかなくなった。





『こんな私、誰か助けてくれるの?』









真っ黒な海の底。

息が出来ない。

身体が重い。

ひかりすら届かない。






「きっと退化して化け物みたいになっちゃうんだろうな。そしたらもっとみんなに嫌われる。」


五月のはじめ。
雨の降る深夜3時。




真っ暗な部屋の中、
放り出された携帯がチカチカと点滅するのに気づかず、
ニコはそんなことを考えながら
涙を流して眠りについた。





おやすみなさい。





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