3を3回、2を2回
あきこ
えり
くみ
さやか
なおこ
まゆこ
ゆい
無数に連なる高校時代の友達の名前、
しかしニコはどの友達のアドレスにカーソルがあっても選択ボタンを押すことが出来なかった。
「ダメだダメだダメだダメだ。
私のこんな惨めな気持ち、
華やかな大学生のみんなは分かってくれない!」
せめて、
せめて高校時代の自分をいつまでもかっこよくいさせてあげたい。
ニコの意地だった。
そんなちっぽけなプライドのせいで、ニコはどん底の気持ちのままもっと深くて黒い海の底へ向かっていく。
「息、するのもめんどくさいな」
「止めたら、死ねるかな」
雨は止まない。
しとしとと音がなく降り続く。
ニコは世界と隔離され、静かに目を閉じた。
「苦しいな。」
だれかたすけてよ
声にならない吐息が
優しい雨に呑まれた。
うっすらと目を開けると携帯の画面が受信ボックスを映し出していた。
日付は昨日。
読まずに放置していたメールが一通。
『あなたの運命の相手がきっと見つかる!』
派手にデコレーションされたメール。
迷惑な類のメール。
いつもなら消してしまうのに、昨日の夜からそのままになっていたのだ。
「誰かに話、聞いてもらいたい。」
ニコはメールに添付されていたURLを押した。