3を3回、2を2回
『あなたの運命の相手がきっと見つかる!』
決して運命の相手を捜していたわけではない。
無意識、
言い訳するならばその言葉が一番しっくりきた。
ぼーとする頭で力なく選択ボタンを押すと、携帯の画面は何とも鮮やかな光を放った。
ピンク
黄色
赤
青
緑
キラキララメラメした華やかなサイトだった。
しかし、その画面から放たれるのはいかがわしい言葉。
目元が隠された女性の胸。
そう、それは、
出会い系と呼ばれる類。
「私の話聞いてくれる人、こんなところにいるの?」
はっ、と力なく笑いニコはカチカチとカーソルを動かす。
『女性無料』
『可愛い子とすぐ会える』
『ヤりたい放題』
カーソルを動かせど動かせど、連なる言葉と画像はどれも男性の欲望を掻き立てるものばかり。
ニコの脳裏にはさっきの男子二人の顔が浮かぶ。
ぞわっ
取り肌と寒気がニコのつむじからつま先までを通り抜ける。
「こんなことしたって…
こんな所で話を聞いてくれる人見つけたって、結局はあいつらと一緒でしょ?
私の外見を知ったら急に冷たくなるに決まってる。
男なんて
男なんて
男なんて」
カーソルを移動させながらそんなことを考えていたら、サイトの一番下にまで来てしまった。
どのリンクも押さず。
いや、押せず。
「出会い系にまで縋るなんて。ばかばかしい」
溜め息をついて、
携帯を閉じようとしたとき。
最下層にある一文が目に入った。
『あなたの運命の相手がきっと見つかる!』
華やかな色とりどりのサイトには似つかわしくなく黒く細い字でかかれたその一文は何故だかニコをとても引き寄せた。
メールにも書いてあったその一文。
無意識、
ほんとうに無意識にニコはその一文をクリックした。