アイドル逃亡中!
はい、真っ暗。
そして当たり前のように嫌な空気。
当たり前だけど…
全く余裕がないので、
懐中電灯を顔の下から
照らすなんておちゃめな真似はできない。
明かりは非常口のランプと懐中電灯のみ。
薄暗い病院の中を私達は歩いている。
ちなみにここは病室の廊下…。
ここから地下室、
手術室、霊安室を抜けなければいけない。
誰もいないうえに、
時々聞こえる病室からのうめき声、
泣き声、水の音、そして…
…なによりも怖いのが、前の人たちの叫び声。
『きゃぁぁあああっ!!』
…ほら、また聞こえた。
え~~~んっ!!
怖いっ!怖すぎるっ!
帰りたいっ!
泣きたい!
…叫びたいぃ~…。
「怖い~~~っ」って…。
どれだけこのつまらない
年上女性の意地という…
形のないものを、
ぽいぽいっと燃えるゴミに捨てられたら…
本当にどれだけ気が楽なんだろうか…。