アイドル逃亡中!




私はあの時、
刹那に約束していた…

クッキーを作るのが、
最近の日課になりつつあった。





―…誰も食べてくれる人…



…なんていないのに。




戸棚におかれたコップ、

洗面台に置いてある
青色の歯ブラシ…

刹那が来ていた弟の服も、





使われることなんてないのに…



―…全て刹那が
使ったまま動かせないでいる。


いつでも…


戻ってきていいようにって…





―…もう、
戻ってくることなんてないのに。




私はいつになったら
刹那を過去に…







…思い出にできるんだろう。



いつまで好きでいるんだろう?








本当に、
未練がましい。





< 281 / 334 >

この作品をシェア

pagetop