黒蝶


「まぁ、陽菜には申し訳ないけどあたしの親なんてこれっぽっちも愛してくれなかったから」


「・・・・・」


「うち、共働きでしょ?ガキの頃は、ばぁちゃんとか身内をたらい回しにさせられて。で、結局は親の所に返されたって感じ?」


衝撃だった。

美亜はそんな過去がありばながらも優しくて。

凄いと思った。


「そうだったんだ・・・」


「まぁ、今は陽菜がいるし!!!」


「あたしも、美亜がいるし!!」


あたし達は顔を見合わせて笑った。

久しぶりだった。

こんなに素直に笑ったの。


「あ、ごめん!」


美亜は自分の携帯に掛かってきた電話を出た。


「え~。ちょっと待って本人に聞いてみる」


美亜は電話を少し遠くにおいてあたしに話しかけてきた。


「あたしのさ、男友達が来ていいかだってぇ。陽菜、大丈夫?」


「うん。いいよ~」


「ごめんね!!」


美亜は電話に戻った。

そして、携帯を切った。


「もう、10分で来るって。相手、高2だけど大丈夫?」


高2?!

多分・・・大丈夫・・・かなぁ・・・・?


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