黒蝶
それから。
あたしは自分を出せるのは、
これしかないと言わんばかりに、
いろんな事を始めた。
今まで見なかったギャル雑誌を買いつくし、
化粧品も揃えた。
でも、収入源が少ない我が家ではすぐに金が底をついた。
だが、あたしは諦めない。
年齢偽装してバイトを始めた。
所長は簡単な人ですぐに騙された。
金が入ったらすぐに服やアクセを買った。
そして買った服を着て、夜の街に出掛ける。
あたしは人並み以上の美貌のおかげで、
ナンパではすぐに声を掛けられた。
それから一ヶ月ほど。
「陽菜」
「ん」
姉に呼ばれた。
「あんた、最近学校行ってないの?」
「・・・・」
「先生から連絡があって来てないって。それに髪も染めて、服も何だか今までとは違うし、何かあったの?」
「別に」
あたしは気づいていた。
姉には婚約者がいてもうすぐ結婚することを。
あたしは捨てられることを。
もう、心配しないで欲しかったけど。
今のあたしじゃ無理か。
でも今のあたしを変えるわけにはいかない。