超モテ子の秘密
というわけで今に至る。
最初はバレなさそうだからという理由だけだったけれど、
今ではここで働くのが楽しいからという理由もできた。
古い本達の匂い、
やさしい渡辺さんやお客さん達、
ゆったりと流れる時間。
私は渡辺書店が大好きだ。
「まだ開いてたんだね。良かった。」
声のする方を見るとスーツを着たおじさんが急いで入ってきた。
「あぁ、山口さん。まだ7時じゃないから大丈夫ですよ」
この人は、うちの店の常連さん。
「この間いいなと思った本を買おうと思ってね。」
そう言って山口さんはレジに本を持ってきた。
「そうでしたか。えーと、2050円になります。」
私は山口さんから代金を頂いた。
「ありがとうございます。」
私は本を袋に入れ、山口さんに渡した。
「毎度ありがとうございます。」
「ありがとね。」
山口さんは帰っていった。