超モテ子の秘密


「そんなこと気にしないでください。先輩を家の前まで送ったら、すぐに帰りますから。」


和也君はそう言いながら、傘を広げ一緒に傘の中に入れてくれた。


一気に和也君が近くなる。


「あ、ありがとう。でも、私が言ってるのはそういうことじゃなくてね…、あの…」


私がどうにか伝えようとすると、和也君がそれを遮った。


「どうしてもダメっすか?先輩を送っていけば、俺も濡れないですむんですけど…。」


いつもより近い位置で和也君がやんちゃな感じで笑う。



そんな和也君を見たら、ダメだなんて言えないよ―――。



私は小さくため息をつくと、自転車のスタンドを蹴り上げ、横に立ってグリップを握った。


「じゃあ、よろしくお願いします、和也君。」


「はい!」


そうして、私達は同じ傘の下、肩を並べて歩き出した。



< 277 / 461 >

この作品をシェア

pagetop