超モテ子の秘密


「あ、それから、将太、お姉ちゃんのことも話してましたよ。」


前を向いたまま、思い出したように話す和也君。


「え?将太が私のことを…?」


何だろう?


私はきょとんとし、首を傾げる。


「たぶん、これが、将太が強くなろうとした理由じゃないかと思うんです。」


………強くなろうとした理由?


気になった私が和也君の横顔を見つめると、和也君はやわらかい表情で私の方を向き、こう言ったんだ―――。


「いつも姉ちゃんばっかり頑張ってるから、強くなって守れるようになりたい。心配かけたくないって。」


――――――将太。


なんだか鼻の奥がつーんとして、目頭が熱くなってくる。


………いつの間にそんな頼もしい弟になったのよ…?


理香の言ったとおりだわ…。


「…そっかぁ……。」


胸がいっぱいで、短く返事をするのが精一杯だった。


雨で冷えた空気を吸って、上を向く。



―――将太、姉ちゃん嬉しいよ―――。



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