超モテ子の秘密


…………。


私は息を呑んだ。


その言葉がぐさりと刺さり、

何も言えない――。


「ハハ、わかりやすいねぇ。もしかしてフラれた!?」


……大胆に笑い声をあげ、完全に面白がっている。


私は何で、こんな人の話、ちゃんと聞いちゃってんの…?


くだらなすぎる。


私は横を擦り抜け、帰ろうとした。



「フラれた本当の理由わかってる?」


私はその声に引き止められたんだ。


さっきの軽い口調とは違う、

トゲがあって、

氷のように冷たい声に――。


別に、腕をつかまれて引き止められたわけじゃない。


だから、簡単にここを去ることはできる。



なのに……、

その声を、

その言葉を聞いた瞬間、


足が凍り付いたみたいに

動かなくなったんだ――。



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