超モテ子の秘密
「つまんねぇの…。まあ、いいや…。期待外れだったし。」
先輩は皮肉っぽく呟くと、その場を去っていった。
――でも、
今の私には……
そんなことどうでもよかった………。
階段の途中に落ちた、手首から飛び散ったものしか、今の私の目にはうつっていない。
……そんな………。
何も考えられず、ただその一点だけを見つめ、一心不乱に駆け寄った。
……そこにあったのは、
捨てたくても捨てられなかったもの、
そして、
お守りであり
絆だったもの――。
急に力が抜け、階段に崩れるように座る。
私はゆっくりとそれを拾い上げると、左の掌においた。
―――ベルトが真っ二つにちぎれた腕時計……。
視界がじわりと滲んでいった……。