超モテ子の秘密


まだ昼休みだから、廊下にいる生徒達の視線がどうしてもささる。


こんなときぐらい……、お願いだから、私をほっといてよ…。


私は心の中でそう願いながら、顔を俯き気味にし、ここを早く通り過ぎたくて歩く速度をあげた。



――そして、やっと学校から出られたとき、また目頭が熱くなってきた。


まわりには誰もいないけど、零れないように少し上を向いてゆっくり歩く。


唇を噛み締め、堪えようとするけれど、瞳全体がたっぷりの涙でおおわれていく。


――今にも零れそう。


涙も……、

この胸を
締め付ける想いも………。



「さやか、待って!!」


……何…?


気付けば、肩から鞄がずり落ち、膝に両手をつきながら息をきらしている理香が立っていた。


「………理香――。」


その時に、思わず涙がすじになって零れていったんだ――。



< 334 / 461 >

この作品をシェア

pagetop