超モテ子の秘密
――夕日が空を赤く染めていた。
泣き腫らした私の目には、赤い夕日がとても眩しく見える。
瞼は少し腫れぼったいけど、心は少し軽くなった気がする。
辛さがすべてなくなったわけじゃないけど、陸人との思い出を捨てなくて本当に良かったと思う。
「理香、ありがとう――。」
家の門のところに立ち、私を見送ってくれている理香に私はお礼を言った。
理香に説得されてなかったら、絶対に後悔してたと思うんだ。
この感謝の気持ちは、
“ありがとう”って言葉だけじゃ
伝えきれないくらいだ。
でも、その“ありがとう”の言葉に精一杯の想いをのせる――。
理香はやわらかく微笑むと、まるで「いいんだよ。」というように優しく首を横に振ってくれた。
そんな仕草を見ているだけで、心にあたたかいものが流れ込んでくる。
ちゃんと想いが伝わっている気がした。
――やっぱり、理香だね。
「理香がそばにいてくれてよかったよ。」
「それは私もだって。」
私達はお互いにそう言うと、あははと明るく笑いあった。
この時自然に笑えたんだ、全く無理をしないで――。
本当にありがとう、理香。
これで少し、前を向けそうな気がするよ―――。