超モテ子の秘密
私は今、お風呂上がりのパジャマ姿で一人、テーブルを前に正座していた。
将太はぐっすり眠っていて、部屋はしんと静まり返っている。
そんな中で居間の蛍光灯がテーブルの上にあるものを照らしていた。
一つは、ちぎれてしまった陸人からもらった腕時計――。
そして、もう一つは、両手で抱えられるほどの大きさの久しぶりに見る段ボール箱―――。
この箱は、押し入れの奥にしまってあって、引っ越すときにつめたままだから、まだガムテープが剥がされていない。
……今まで開けられなかったんだ。
―――なぜなら、この箱には大切な思い出がつまりすぎているから。
開けたら、その思い出に縋りついてしまいそうだったから……。
でも、
今の私なら、
沢山の人に支えられていることに気付けた今なら、
開けられる気がするの――。
そして、この腕時計もその思い出たちの一部に入れようと思うんだ―――。