超モテ子の秘密


「それより、さやか、立ち止まって何してたの?」


不思議そうに少し眉根を寄せる理香。


「あれを見てたんだよ。」


私は答えながら、体を紫陽花の方に向けた。


「あっ、紫陽花だぁ!」

「本当だ。気付かなかったなぁ。」


2人とも知らなかったようで驚いてる。


「私もさっき気付いたの。きれいだよね。」


いきなり咲いたわけではないのに、3人とも全く気付いていなかった。



私は後になって思ったんだ。


何事にも、些細なことでも、前触れがあるのに、それに気付くことはなかなか難しいということ。


そして、気付くときは、大抵ことが起きた後ということ…――。



「さあ、行こう?」


「うん。」


そして、私たちは再び、学校へと歩き始めた。


そこに何が待っているのかも知らずに……。


ただ、確実にこの平和な時間の終わりへと、一歩ずつ近づいていたんだ。



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