超モテ子の秘密


私は誰もいない家に着くと、大きなため息を吐いて、玄関にへなへなと座り込んだ。


……こんなことになるなんて…。


両手で顔を覆い、俯く。


きっとバレないって、過信してた……。


愛奈ちゃんのこともわかってなかった……。


まるで無理にピンと張った糸が切れてしまったようで、もう気力なんてない。


私どうしたらいい?


胸のなかが、今後の不安と自分への嫌悪感で溢れていく。


陸人の時とはまた違う苦しさが胸を締め付け、涙が出そうになる。


……でも、泣いたって何も解決しないよね。


私は少し上を向いて涙を引っ込める努力をした。


さあ、渡辺さんのところに行かないと…――。


やっとのことで立ち上がり、いつものように渡辺書店のエプロンを取りにいく。


……もうこのエプロンを着ることもないんだな……。


そう思いながら荷物を持ち、私はいつもと違って制服のまま、重い玄関の扉をあけた。



< 388 / 461 >

この作品をシェア

pagetop