超モテ子の秘密


私は自転車をこぐ。


とてもとても重いペダルを……。


流れる景色は何も変わらないのに、

今日だけは……、

そんな景色を見てると

何故だか虚しくなった。


この通い慣れた道を通るのは最後なんだって、

頭よりも、

心の方がずっとわかってるみたい――。


バイトの収入がなくなることは、私にとって今はどうでもよくなってた。


一応、生活していけなくなるわけじゃないから。


そんなことより、

大好きな渡辺書店で働けなくなることの方が、

本当のおじいちゃんみたいに優しくしてくれた渡辺さんに会えなくなることの方が、

ずっとずっと悲しかった……。


そして、こんなことになったのは、誰のせいでもなく私なんだ。


あんなに優しい渡辺さんを騙したのは私なんだから……。


すると、いつの間にか渡辺書店に着いていた。


私は一体、どんな顔をして渡辺さんに会えばいいのかな……?



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