超モテ子の秘密
いつものように裏口から入ろうとするけれど、私の手は震えドアをあけるのを躊躇した。
――こわいんだ……。
あわす顔のない私が、渡辺さんに会って話すなんて……。
渡辺さんはどんなふうに思うだろう?
幻滅するかな……。
でも、ちゃんと謝らないと――。
私は震える手に力をいれ、「失礼します。」と少しかれた声を出しながら、思い切ってなかに入った。
「さやかちゃん、どうしたんだい!?」
カウンターのそばに座ってた渡辺さんが目を見開き、私の方を向いていた。
うまく目があわせられない……。
「まだ時間じゃないだろう?」
渡辺さんは壁に掛けられている時計と私を交互に見ながら、驚いたように尋ねてくる。
「……今日は、渡辺さんに話さなきゃいけないことがあって来たんです。」
私がそう言うと、渡辺さんの額に困ったように皺が寄った。
――早く言え、私…。
「……私、渡辺さんに嘘ついてたんです。私、風見高校の生徒でバイトは禁じられているのに、渡辺さんに秘密にしてました。……ごめんなさい!!」
私は深く頭を下げた。
きっと、渡辺さん私にがっかりするに違いない。