超モテ子の秘密


「実は私はね、さやかちゃんを孫と重ね合わせていたんだよ。だから、孫と過ごしているみたいで、とても楽しかったんだ。」


そうだったんだ……。


全然知らなかった。


「でも、私ダメな孫ですよ。おじいちゃんがいない私としては、渡辺さんみたいなおじいちゃんがいたら嬉しいですけどね。」


私が笑って言ってみせると、渡辺さんもつられたように笑ってくれた。


「嬉しいことを言ってくれるねぇ。ああ、そうだ。ちょっと待っていてくれるかい。」


渡辺さんは思い立ったようにそう言うと、徐に立ち上がる。


「…あ、はい。」


そう言うと、渡辺さんは居間から出ていった。


……どうしたんだろう?


私はそう思いながらも、やることのない私は、お客さんが来ないか居間から見て待っていることにした。




―――数分がたっただろうか?


渡辺さんの足音が戻ってきた。


「どうしたんですか?」


尋ねながら、渡辺さんの方を向いてみると、手には茶封筒を持っていた。


「今までさやかちゃんご苦労様。最後のバイト代だよ。」


渡辺さんは私にその茶封筒を差し出す。


「受け取れませんよ!今月は最後まで働いてませんし、渡辺さんには嘘をついてたんですから……。」



< 397 / 461 >

この作品をシェア

pagetop