超モテ子の秘密
私は、渡辺書店を出て自転車のかごにバッグを積み込んだ。
そしてバッグとは別に手に持っていた茶封筒に目を移す。
……本当に良かったのかな?
未だに思う。
私はそっと封筒の中身を少し出してみた。
――えっ!
いつものバイト代よりも多い。
すぐに引き返そうとしたけれど、一枚の白い紙が入っていることに気付いた。
何だろう……?
その紙だけを抜き取ってみると、渡辺さんの達筆な字で走り書きがされていた。
これはおじいちゃんから孫へのお小遣いのようなものだ。
言ったら、受け取ってくれないだろうからね。
年寄りのわがままだと思って、黙って受け取ってほしい。
今までありがとう。
――渡辺さん―――!
胸がいっぱいになって、唇を噛み締めた時、手紙の端が濡れた。
堪えてた涙がついに零れ落ちていく。
私は衝動的に、渡辺書店の方を向き深く深く一礼した。
「ありがとうございました!」
……渡辺さんには見えないけれど、
聴こえないと思うけれど………。
渡辺さんに優しくしてもらったこと、
絶対に忘れません――!