超モテ子の秘密
私はもうびしょ濡れになって校門を駆け抜けた。
周りの生徒の目なんて気にならない。
私なんて、どう言われたって構わない。
だけど、和也君は違うから。
すごく純粋で、いい子だから――。
私が止めなくちゃ。
守らなきゃ。
場所はすぐわかった。
周りにはまばらに、野次馬がいるから。
そして、その野次馬の間から見えたんだ。
先輩に襟元を掴まれ、顔に少し傷のできた和也君が。
「――和也君!!」
私は声の限り叫んだ。
でも、和也君はあの時と同じように、怒りに満ちた表情をしていて、私の声は届いてない。
「ふざけんなっ!!」
和也君が先輩にそう叫びながら、その一瞬に先輩に蹴りを入れると、こぶしを作って殴りかかろうとする――。
「やめてー!!」
私は何もできずに、ただ叫んで固く目を閉じた。
お願いだから、やめて……。