超モテ子の秘密


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―――


「ごちそうさまでした!美味しかったです、先輩。」


お弁当の蓋を閉じながら、和也君は子供のように目を輝かせ、嬉しげに言う。


「そう?嬉しいな。」


こんなに喜んでくれると作ったかいがあったなって嬉しくなる。


私はそんなことを心の中で思いながら、お弁当箱を片付けていく。


そして、一息つくと私は空を見上げた。


「今日も空、きれいだね。」


青くすんだ空に雲がぷかぷか浮いている。


「そうですね。」


私はこっそり、空を見上げる和也君の横顔を、気付かれないように見た。


和也君の笑顔はとても明るくて、太陽みたい。


この笑顔に何度元気をもらったかな――。


和也君に一番似合うのは笑顔だって思う。


あの日見た、沈み怒りに満ちた顔なんかやっぱり和也君らしくないよ。


……私が傍を離れれば、和也君はもうあんな思いしなくてすむよね?


……でも、この笑顔を見れなくなるのはさみしいな……。


すると、空に浮かぶ太陽に雲がかかり、少し陰り始める。


……私の心にも、

この時間がもうすぐ終わるんだってわかったら、

影がさし始めてきて思わず俯いた。



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