超モテ子の秘密


「先輩、どうかしました?」


目の前には心配そうに私の顔を覗き込んでくる和也君。


いけない、いけない……。


秘密で行くんだから。


「う、ううん。何でもないよ!」


すごく下手だけど、どうにか取り繕う私。


だけど、和也君はまだ心配そうに私を見つめながら、問い掛けてくる。


「そうですか?」


……お願い、そんなふうに聞かないで…。


せっかく決めたのに、心が揺らぐから……。


私は静かに和也君の前から消えるって決めたんだから。


「全然平気だよ。あっ、そろそろ行かなくちゃ。」


今にも心から溢れ出しそう……。


よくわからないこの気持ちが。


このままいたらバレてしまうから、私は荷物を持って席を立った。


「じゃあね。」


私は逃げるようにここを去る。


和也君の困惑した目を背に……。


明日から私のことはもう忘れてね、和也君。


私はよくわからないこの想いに蓋をして、傍をはなれるから。


本当にありがとう、和也君。


そして、

さよなら――。



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