超モテ子の秘密
バタン――。
屋上の扉が虚しい音をたてながら、閉まり光が遮られた。
私は頬につたった涙を、手の甲で拭う。
……これで、よかったんだ。
そう、これでよかったの。
そう言いきかす。
でも何故か胸は切なさでいっぱいで、下唇をかんだ。
……自分で選んだくせにね…。
だけど、間違ってないよね?
このまま和也君は私のこと忘れた方がいい。
私はもう一度涙を拭うと、目をパッと開き、階段をおりる。
さあ、教室戻って、最後の午後の授業だ――。
そうやって気持ちを切り替えながら、階段を降り切って左に曲がると誰かに声をかけられた。
「折原先輩って、馬鹿ですね……。」
「えっ……?」
どこかで、ため息混じりの呆れかえったような女の子の声がする。
「こっちですよ。」
声と近付く足音が後ろから聴こえる……。
後ろを振り向けば、ムスッとした表情を浮かべた長い黒髪の女の子が立っていた。
「……愛…奈…ちゃん……。」