超モテ子の秘密
考え込んでしまっていたことに気付き、はっとする。
もう私は和也君の前から消えるんだから、考えることない……。
その間も愛奈ちゃんにじーっと見られていて、私は仕方なくかみ合わない答えを返す。
「……私のこと気にしてるなら、もうその必要はないよ、愛奈ちゃん。」
愛奈ちゃんはまるで私の言うことがわからないとでも言うように、眉をしかめた。
「私、今日でこの学校を去るから。あ、でもこのことは秘密ね。先生と親友の理香にしか言ってないの。」
すると、愛奈ちゃんは一瞬驚いたような顔をする。
でも、すぐに無愛想な表情へと変わった。
「竹内君にも話していないんですか?」
「うん。」
私が答えると、愛奈ちゃんは私にも聴こえないような声で何かをぼそっと呟き、不機嫌そうに腕を組む。
「先輩は、“私のこと気にしてるなら”って言いましたけど、気にしてなんかいませんよ。誰が相手だろうと、竹内君のことは諦めませんから。……特に先輩みたいな弱虫には。」
……?
愛奈ちゃんは横目に私を睨みながら、背を向け去っていく。
「じゃあ、さよーなら、弱虫な折原先輩。」
そうして、愛奈ちゃんは消えていった。
……弱虫って何よ?
愛奈ちゃんの言葉に、心がもやもやさせられる。
……何なの…?