超モテ子の秘密
“弱虫な折原先輩”
愛奈ちゃんの言った言葉がずっと胸に引っかかって、最後の午後の授業はちゃんと受けられなかった気がする……。
そんなわけで、心がもやもやしたまま、風見高校での時間は終わりを告げた。
もう終わったことなのだから、もう考えないことにしよう。
それより今は、理香との最後の帰り道。
この時間の方が大切だ――。
「あっという間だったね、さやか。」
理香が上を向きながら、思い出すように言う。
「そうだね。」
「実はね、さやかが転校してくる時、すごい美少女がくるって噂が飛び交ってて、すごかったんだよ。最初はそんな子と仲良くなれんのかなって思ってた。きっとお高くとまってるような子だと思って。」
歯を見せてにかっと笑って言う理香。
「何それ~?」
そんなふうに思われてたんだ。
私はくすりと笑う。
「へへっ。まあ、全然そんなことなかったけどね。てか、短かったけど、もう親友だし。」
理香は勢いよく私の肩にギュって手をまわす。
一瞬私はびっくりしてよろっとしたけど、2人で顔を見合せて笑うと、一緒に歩きだした。