超モテ子の秘密
……でも、和也君のことは、最後まで心に引っ掛かってた……。
いや、今もかな……?
理香とは、親友としていつまでもつながっていられる。
だけど、和也君とは、これきりなんだ……。
そう思うと、心が騒つく。
自分自身で、黙って和也君の前から去ることを選んだのに、何考えてるんだろうね?
私は心の中で自分を嘲笑った。
きっとそのうち忘れられるよね。
そう思うのは、今だけに、決まってるんだから……。
そう言い聞かせていたら、おじいちゃんの声がした。
「お、バスが来たぞ。」
下げていた視線を前に移せば、バスが近づいてきて私達の前でゆっくりと停車した。
そして、音をたてて扉が開く。
「さあ、乗りましょう。」
そう言うおばあちゃんに続いて、バスに乗り込む。
前にいる将太がステップをあがっていくと、私もステップに足をかけた。
さよなら――、
心の中で呟く。
その時だった――。
「――先輩!!――折原先輩!!」
えっ……?
こちらに向かって駆けてくる足音、何度も呼ばれる私の名前。
私は無意識に振り返った。
止まった足音、そして、荒い息遣い。
……何でここに――?