超モテ子の秘密


上から降ってきたやわらかな声、

和也君の早い鼓動、

力強い腕、

全てから想いが伝わってくる――。


……いいの…かな…?


私は、あれしか言えてないのに……。


そして、視界がぱっと明るくなった。


「俺、今はそれで十分です――。なんか俺、嬉しくて泣きそう……。」


私の瞳には、涙を溜めながら、いつもの太陽のような笑顔を向けてくれる和也君がうつる。


「和也君……。こんな私でもいいの…?」


私はまた涙を流しながら問いかけた。


「泣かないでくださいよ、先輩。」


そう言って微笑みながら、私の涙を優しく拭ってくれた。


「俺はどんな先輩も好きです――。出会った日からずっと。」


「……ありがとう。」


嬉しさでますます涙が零れていく。


「あの……、そろそろ出発しますが……。」


運転手さんの声がする。


「先輩、行ってください。」


「でも……。」


行かなきゃならないのはわかってるけど、行きたくないって気持ちが強くなる……。


もう好きになった人と離れるのは……。



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