超モテ子の秘密
「さあ、先輩行かないと――。」
和也君は私の肩をつかんでくるりと向きをかえさせると、どんどん背中を押して前に進む。
そして、私はバスに乗せられてしまった。
……さみしいよ…。
そんな想いばかりがつのる。
「では、ドアが閉まります。」
私の瞳から大粒の涙が零れ落ちる。
その刹那、まわりの動きがスローモーションに見えた。
和也君がステップに足をかけ、
顔が近づき、
私の頬にふわりと
――やわらかいものが触れた――。
―――え……?
私が理解できないうちに、音をたてながらドアが閉まる。
スローモーションに見えていた世界が、普通に再生された……。
ドアの向こうには、元気な笑顔で、私に手を振る和也君。
そして、バスは動きだし、和也君は次第に小さくなっていく。
私はまだびっくりしていて茫然と立ち尽くしていた。
何が起こったんだっけ……?
私は頬を指でそっと触りながら、歩きだし将太の隣にすとんと腰をおろした。
将太が私を肘で突きながら何か言ってるけど、私の頭は状況を整理するので、精一杯だった……。