アタシがホストになった ワケ
ドレスの試着と次のデザインの
打ち合せをして店を出ると
白いスーツの蓮が立っていた。


予想外だった。


「お前、スゲーな」


『え?なにがぁ?』

萌にゃんスマイルで返す。

「最後まで、萌にゃん
やり通したな」


『どういうことかなぁ?』

「改めて俺と付き合ってよ、根性あって結構…」


アタシは聞きおわる前に答えた。


『蓮?萌にゃん、蓮に
飽きちゃった。エヘッ』

そう、舌を出すとタクシーに
乗り込んだ。


『○○ホテルまで行ってください。』


今日は家に帰るのをやめた。
高級ホテルに泊まって、明日は
エステして、忘れよう。

家にはきっと蓮がくる。
めんどくさい。


悲しみの裏に、ちょっと
安心してる自分がいた。




1週間後、萌にゃんは
失踪した。
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