アタシがホストになった ワケ
次の日も、その次の日も、
蓮は店に来た。
短い時間だったけど、

「やり直そうぜ?」

を連発して帰った。

根負けしたくなかった。


気がおかしくなりそう。


その時、指名が入った。
VIPルームだった。

「お〜萌華!久しぶり!」

『あ〜たかサン!
来てくれたんだぁ♪萌にゃん
うれしぃ〜』



木島隆明、35歳。
伝説の元ホスト。今はこの街の
有名ホストクラブを何件も
経営してるオーナー。
蓮のいるギルドもその一つ。


アタシにとってはお兄さん的
存在の人。


「蓮から聞いたぞ?
萌華、振ったんだって?」

おいおい、どこでそーゆー
方向にいったのよ?


『たかサン違うよ、萌が
振られたの…』


なぜか、たかサンには本当の
コト話したくなった。

誰かに聞いてほしかったのかな。


思わず涙が溢れる。


「おっ、おい?萌華?
大丈夫か?なんだ、
話してみろよ…」


『ごめんね〜たかサン。あの、ね』


アタシは全部を話した。

たかサンは、ウイスキーを
ときどき飲みながら、
静かにアタシのはなしを
聞いていた。


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