アタシがホストになった ワケ
整形かぁ……


目の腫れたスッピンを
ドレッサーの鏡に映しながら
ため息をつく。


どんなふうにするつもりかな、
たかサン…


アタシはたかサンに買ってもらった
白いケータイを手にした。

「はい、もしもし。」


『お母さん、アタシ……』

「萌?どうしたの?
こんな朝早くに」


『ん〜今暇だったからさぁ』


「あんたちゃんと食べてる?
元気してるの?たまには
帰ってきなさいよ。」


優しい母の声。

思わず声が聞きたくなった。

『そうだねぇ…』


「お父さんも待ってるん
だから!」


泣きそうになるのをこらえた。


『お母さん、アタシ
雑誌モデルやめたんだ、
だから買ってももう載って
ないからね。』


「あら、そうなの?
残念だわ。大変な世界ね。」

声が少し低くなった。
心配してるのが伝わる。


『今年は忙しくて、帰れない
かも。みんなによろしく。
また電話する。メールアドレス
変わったから後で送るよ。
じゃぁね!』


「あ、萌?大丈夫なの?
いつでも、帰ってきなさい。
一日でも、半日でもいいから。
お母さん待ってるから。」

『ありがと……――じゃぁ、
切るよ』


また涙溢れてくる。


でも、泣くだけ泣いて、
すっきりして前に進もう。

決意の涙だから。
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