ガラス越しに手を合わせて
「いっちゃんー! 来てきてー!」
「なに?」
秀一の方を向くと、彼はしゃがんで足元を眺めている。どうせトカゲか何かを見つけたのかと、呆れながら秀一の元へ駆け寄ると、しゃがんだ秀一の視線の先に、モンシロチョウがたんぽぽに止まっていた。
「目の前をこいつが横切ってさー。どこ行くのかなあって追いかけたら、たんぽぽに止まったんだ」
嬉しそうに話す秀一に、衣摘は少々苛立ってしまう。
こっちの気も知らないで。いい御身分だなまったく。
「あっ……」
モンシロチョウは、衣摘の苛立ちを察知し怯えたのか、ひらひらと衣摘達の背後へ飛んで行った。これが本当の虫の知らせだろうか。
「行っちゃった」
秀一はモンシロチョウが飛んで行った先を、寂しそうに見ている。
「もういい?」
「あ、ごめん」
衣摘の苛立ちに、秀一は毛ほどにも気づいていないようだ。
単語帳に目を落とし、足早に立ち去る衣摘を、慌てて追いかける秀一が、今度はキリギリスの死骸を運ぶ蟻の行列に目を奪われたのは言うまでもない。
「なに?」
秀一の方を向くと、彼はしゃがんで足元を眺めている。どうせトカゲか何かを見つけたのかと、呆れながら秀一の元へ駆け寄ると、しゃがんだ秀一の視線の先に、モンシロチョウがたんぽぽに止まっていた。
「目の前をこいつが横切ってさー。どこ行くのかなあって追いかけたら、たんぽぽに止まったんだ」
嬉しそうに話す秀一に、衣摘は少々苛立ってしまう。
こっちの気も知らないで。いい御身分だなまったく。
「あっ……」
モンシロチョウは、衣摘の苛立ちを察知し怯えたのか、ひらひらと衣摘達の背後へ飛んで行った。これが本当の虫の知らせだろうか。
「行っちゃった」
秀一はモンシロチョウが飛んで行った先を、寂しそうに見ている。
「もういい?」
「あ、ごめん」
衣摘の苛立ちに、秀一は毛ほどにも気づいていないようだ。
単語帳に目を落とし、足早に立ち去る衣摘を、慌てて追いかける秀一が、今度はキリギリスの死骸を運ぶ蟻の行列に目を奪われたのは言うまでもない。