ツギハギ
漸く翠が目覚めれば、
時計は17時過ぎを指していた。


いけない、すっかり寝ちゃった。


外はすっかり暗くなっている。

部屋の中はテレビの明かりだけ


の、はずだった


しかし直ぐに
暗い部屋で
テレビ以外の不自然な光に気づく。


その光を辿れば、
携帯の着信ランプ。


なんで…
電源落としたはずなのに


翠は携帯を恐る恐る手にとった。


開けば
メール着信1件


届いているのは
学のフォルダー


もしかしたら、電源落とせてなかったのかも、と
フォルダーを開く


件名 今日


もしかしたら帰って来れるのかな?


そんな風に思い
メールを開封した




data:4/12 22:00
From:学
件名:今日



行くから



ケイコ





一瞬、翠の息が止まった


しかし、
学が言うように
これはウイルスで
質の悪い悪戯なんだ
相手にしたら駄目なんだ

そう自分に言い聞かせ
冷静に、メールを消却し 今度はきちんと電源を落とした。



そして、
携帯の存在を忘れるように昼食で使った食器を洗う為
キッチンに入った。

皿を洗っていれば
夕方のニュースがテレビで流れているのが
キッチンからも見える。

どうやら
ばらばら遺体のニュースが再度やっているようだった。

水を流している為
音はよく聞き取れなが
テロップには
妊婦遺体、未だ上半身以外行方不明

そうでていて。

同じ妊婦として同情するばかりだ。


皿を洗い終わり水を止めれば、
遺体発見場所でリポートするアナウンサーの声が聞こえてきた。

「――さんは、4月12日午後、病院に行くと言って行方不明になったそうです。」

翠はキッチンから出ると
ソファーに座りニュースに見入った。



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