ツギハギ

そんなに汚れているようには見えないし

どちらかと言えば、新品に近い。

「でも、誰かの忘れ物かもしれないわよ?今度同じの買ってあげるから置いていきなさい」

直子がそう言えば
優奈は首を横に降る。

「トトちゃん、捨てられたって言ってるもん
可哀相だよ、優奈が連れて帰るの」

直子はため息をついた。
こうなったら何がなんでも持って帰る気だろうと。

「…わかったわ。そのかわり、ちゃんと帰ったら洗うのよ?そのままじゃ、ごみ箱に入ってたんだから汚いでしょ?」

優奈はその言葉に元気良く頷くと

「良かったね、トトちゃん。帰ったら一緒にお風呂入ろうね」

と、人形に話しかけ
笑った。


< 30 / 31 >

この作品をシェア

pagetop