ツギハギ

ドン


ドンドン


ドンドンドン




それは誰もが寝静まった時間。


ドン



ドンドン



ドンドンドン



異様な物音に
疲れ、眠っていた梓の瞳もゆっくりあいた。


「…んっ………」


まだ寝ぼけ眼で起き上がれば、僅かにベッドが揺れている


じ、地震?


初めはそう思った。


だが、直ぐに違う事に気づく。


ドン



ドンドン



ドンドンドン



「と………隣?」


壁からくる振動が
くっつけられたベッドに伝わり揺らしている。


「な…に…なんなの?」


それは尋常じゃない力で殴らないと響かない程の音と震動


ちょっと、
初一人暮らしの隣人が
迷惑極まりない奴って…


そう思いながらも、
あまりの怖さに携帯をとると
友人の若菜に電話をかけた。


時間を見れば午前2時


友達だって寝ているだろう。


祈るような気持ちでコールを鳴らす。


1コール


2コール





結局鳴らし続けたけど
出てはくれない。

マナーモードになっているのだろう。


そんな間にも音も震動もますます強くなっていく。


怖い、


怖いよ


布団を被り今度は家族に電話しようとする


だけど


親を心配させたくない。


そんな気持ちがあり
中々発信を押せないでいた。


すると暫くして
ピタッと震動が止まった


やっと終わったと
胸を撫で下ろした瞬間だった。


今度は玄関から音が響いてきたのだ。


移動した!?


梓は布団に包まったままベッドから降り
玄関に向かうと
そっと小さな覗き窓から
アパートの通路を覗いた

そこには
下見の時にあったカップルの男性が、立っていて

通路に置かれた洗濯機の蓋を、上半身裸で殴っていた。

その光景は異様だった


無表情で
一点を見つめ

がた

がた


と、蓋を拳で殴っている


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