ツギハギ
決して、近所迷惑だとか
注意できる感じではない

暫く梓がそのまま様子を伺っていると
不意に男が梓の部屋のドアを見た。


まるで覗いていた梓と視線が合うかのような…


梓はとっさにドアから離れた。


玄関の明かりは付けてないし
物音も立てていない。


だから、梓が覗いて様子を伺っているなど
気づきようがないのに


梓は早くなった鼓動を落ち着かせるように
深呼吸をすると
もう一度覗き窓際から様子を伺った







「!!……っ」



覗いた瞬間、梓の瞳に映ったのは
男の瞳。


男が反対側から覗こうとしていたのだ


梓は上がりそうになった悲鳴を両手で抑え
部屋に戻るとベッドにうずくまった。


覗いてた


なんで


なんで!?


私が覗いていのに気付いたから!?


それにしたって気味が悪すぎる。


梓は震えを抑えるように
布団を頭までかぶり
また聞こえだした玄関の音に耳を塞ぎ
目を閉じた。


それが

一人暮らし初日の夜だった。
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