勿 忘 草
十六夜の月
『 十六夜の月 』
というのは、
十五夜よりも月がやや躊躇っている様。
という事を見立てているらしい。
そして、十五夜の満月がやや欠けている月
それを『 十六夜の月 』 と言うらしい。
十六夜の月は、
二度と満ちる事がない。
欠けたまま、ボロボロと…
剥がれ落ちていく。
なんて、夜の月を眺めながら考えて見た。
十六夜の月、なんて哀しい月なんだろう。
永遠に満たされる事がない、なんて。
まるで、人間みたい、なんて自嘲気味に笑った。
人間は、求めているものは、手に入らない。
でも、手にいれたくなるんだ。
本当に大切なものこそ、
手にはいらないのに、ね。
手を伸ばせば伸ばすほど、
遠くに、本当に遠く
それでも近くに。
嗚呼、人とはなんて脆く果敢ないものなのだろう。
そろそろ夜が明ける。
月も、もうおしまいだ。
夜が明ける前に、部屋に戻らなくちゃ。