憂鬱姫と俺様王子
キンコンカンコーン
チャイムとともに授業が始まる。
隣に目をやると、空席のまんま。
授業にも、全く集中できない。
これを恋と呼んでいいものかも分からなかった。
俺は、「恋」というものをしたことが一度もない。
「好きだ、好きだ。」と言い寄ってくる女がいたものの、全て断ってきた。
だから、どういうものなのか全く分からない。
そんなことを考えているうちに、授業が終わってしまった。
ホント、いつまで喋ってんだよ。
いくらなんでも、遅すぎだろ。
俺は心配になって、様子を伺いに行こうかと教室の扉の前に立つと反対側から、
ガラガラガラー
と扉が開いた。
顔を上げて見てみると、香山が立っていた。