憂鬱姫と俺様王子
放課後、手紙の行方が気になったあたしは、教室を覗いてみた。
中には、彼とそれを取り囲む数人の仲間達だけが残っていた。
あたしは息を呑んで、耳を傾ける。
「また、ラブレターか?お前!!」
「あぁ、まあな。」
彼の声が聞こえる。
「ホント、女騙しすぎだろ。」
「しょうがないだろ。でも、喋ったこともねぇ~女からもらっても気色わり~だけだつぅの。ハハハッ。」
笑い声とともに、紙が破れる音がした。
「ヒデーな、お前。中身ぐらい読めよ。」
「こんなことに時間かけたくねぇ~んだよ。」
あたしはこの言葉に硬直してしまった。
足が動かない。
「もう、帰るか。」
その言葉とともに、足音が近くなる。
それでも動かない足。
お願い!!動いて!!
その願いもむなしく、視線が重なってしまった。
「おい、コイツだよ。あの手紙、書いたの。」
仲間の一人が、あたしを指差しながら言った。
彼はあたしの顔を見ながら
「気色わり~から、一生近づくな!!」
それだけ言って、去っていった。
あたしの初恋は最悪のものとなってしまった。