憂鬱姫と俺様王子

一通り話終えると、あたしの体は震えていた。
「えっ!?」
ふわっと、あたしの体は一瞬にして温かいものに包まれる。
なんだろう?
「つらい過去を話させてゴメンね。」
声のする方を見ると、城崎くんがあたしを抱きしめている。
温かいな。
って何、のん気なこと考えてるんだろう。
「あっ、ゴメン。」
城崎くんはパッとあたしの体から離れた。
気まずそうにしている。
でも、城崎くんが抱きしめてくれたおかげで恐怖心がなくなった。
それに・・・
「めっちゃ、温かくて気持ちよかった。」
思ってることがまた口から出ちゃった。
ホント、馬鹿なあたし。
「素直でいいよね、みみちゃんって。」
くすくすと笑いながら言われた。
やっぱ、恥ずかしい。
それから、また城崎くんは口を開いた。
「あとね、みみちゃん。教えてあげるけど、空斗はそんな男のようなことはしないよ。空斗はあんなに威張ってるけど、本当は人一倍心の優しいヤツなんだ。」
< 25 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop